
親が施設入居した後の家はどうする?売却時期と手続きの流れを紹介
親御様が施設に入居された後、住まなくなった実家をどうするべきか迷われていませんか。長く住んだ家を空き家にすると、税金や管理の負担が増えるだけでなく、思いがけないリスクも発生します。本記事では、空き家の問題点や、住まなくなってから3年以内に売却すれば利用できる税制優遇策など、今すぐ知っておきたい大切なポイントを解説します。実家の将来について、後悔しない選択をするための参考にしてください。
施設入居後の実家をどうするか?
親御さんが施設へ入所されると、実家は空き家となり、固定資産税や維持管理費が継続して発生します。また、人が住んでいない状態が長引くと、老朽化や防犯リスクも高まりますので、放置は決して避けたい状況です。特に「特定空き家」として行政から指定されると、「住宅用地の特例」が適用されなくなり、固定資産税が最大6倍、都市計画税は最大3倍にまで増大する可能性があります。これは近年の法改正で、「管理不全空き家」に対しても優遇除外が進んでいるためです。
空き家放置による主なリスク
| リスク | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 税負担の増加 | 住宅用地特例の対象外となると固定資産税が最大6倍に | 特定空き家/管理不全空き家に指定されることが条件 |
| 価値の低下 | 老朽化や劣化によって不動産の市場価値が下がる | 長期放置により売却難易度も上昇 |
| 防犯・近隣トラブル | 空き家は不法侵入や苦情の原因になりやすい | 最悪、行政代執行の対象となることも |
また、「住まなくなった日(親御さんが施設に入居した日など)」から一定期間内に売却すれば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度があります。この制度は、「居住用財産の3,000万円特別控除」として知られており、居住用財産として使用されていた家屋とその敷地を、居住をやめてから3年を経過した年の12月31日までに売却することが適用条件です。内容や期限を正確に理解し、適切なタイミングで売却の検討を進めることが重要です。
売却タイミングを逃さないポイント
ご両親が施設に入居された時点で「住まなくなった日」となり、ここから税制上の優遇を受ける期限が始まります。具体的には、居住用財産の3,000万円特別控除は、「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売却する必要があります。たとえば2026年3月10日に施設へ入居された場合、2029年12月31日が期限となります。
| 項目 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 特別控除の適用期限 | 住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日 | 例:2026年3月10日なら2029年12月31日まで |
| 猶予期間の計算 | 暦年ベースでカウントされ、最大約3年9か月の猶予もあり得る | 早めの計画が望ましい |
| 意思表示が困難になる前に | 認知症等に備え、あらかじめ売却の意思を明確にしておく | 成年後見制度などの準備が必要になる場合もあります |
特別控除の期限については、国税庁や税務解説等でも「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」と明記されていますので、この期限を過ぎると控除が適用できなくなります。
さらに、「住まなくなってから3年ルール」は暦年ベースで計算されるため、例えば2026年3月に住まなくなった場合、2027年1月1日から起算して2029年12月31日までが猶予期間となり、実質3年9か月程度の猶予があることになります。
また、認知症などで判断能力が低下してしまうと、売却の意思を示すことが難しくなります。こうした事態に備え、ご本人の意思がしっかりしているうちに、早めに売却の方向性を家族で確認し、必要に応じて成年後見制度などを検討しておくことが大切です。
売却手続きの前提と準備
ご両親が施設に入居された場合、住まなくなったご実家を売却する前に、まず確認すべき重要な前提があります。それは、ご本人の判断能力(意思能力)がしっかり残っているかどうかです。本来、不動産の売却には意思能力が必要であり、認知症などで判断力が不十分とみなされると、契約自体が無効となる可能性があります。そのような場合には、成年後見制度の活用が必要になります。成年後見制度には、「法定後見」と「任意後見」の二つの選び方があり、状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。適切な制度を選び、必要な準備を進めることで、安心して売却手続きを進められます。
| 準備項目 | 内容 |
|---|---|
| 判断能力の確認 | ご本人にまだ売却の意思があるか、判断能力があるうちに確認することが大切です。 |
| 後見制度の準備 | 判断能力が低下した場合に備え、任意後見制度や法定後見制度の利用を検討します。 |
| 必要書類の準備 | 権利証などの重要な書類が紛失している場合は、司法書士など専門家に依頼して再取得の対応を進めます。 |
まず、ご本人に判断能力が残っているうちに売却する意思があるか、丁寧に確認しておくことがとても重要です。すでに認知症などで判断能力が不安定な場合は、家庭裁判所に申し立て、成年後見人を選任してもらう「法定後見制度」の利用が必要です。この制度を活用すれば、ご本人に代わって成年後見人が適切な法律行為を行えるため、不動産売却も可能になります(※法定後見制度)
また、判断能力がまだしっかりしている段階であれば、「任意後見制度」を活用することも検討できます。これはご本人が元気なうちに信頼できる後見人を選び、公証役場で任意後見契約を結えておく制度です。将来判断力が低下した際に、後見人が売却などの手続きをスムーズに行うことができるようになります(※任意後見制度)
さらに、権利証(登記済証)などの必要書類が紛失している場合には、専門家に依頼して対応しておくことが大切です。たとえば、司法書士に依頼して再発行や登記済証に代わる書類の準備を進めることで、売却の手続きを円滑に進めることが可能になります。
売却以外の選択肢とその比較
実家を売却せずに資産を活用する方法として、賃貸活用やリバースモーゲージ(住宅を担保に融資を受ける制度)などが代表的です。それぞれの特徴や負担、収益性をわかりやすく比較してみましょう。
| 選択肢 | 特徴 | メリット・デメリット |
|---|---|---|
| 賃貸活用 | 空き家を賃貸として貸し出し、家賃収入を得る方法 | 維持管理を続けつつ思い出の家を残せるメリットがあります。ただしリフォーム費用や空室リスクなど管理負担が続くことがデメリットです。 |
| リースバック | 自宅を売却した後も、元の家に賃貸で住み続けられる仕組み | まとまった資金を得られ、生活環境を維持できますが、売却価格が相場より低くなる傾向があり、家賃が相場連動で上がる可能性もある点が注意点です。 |
| リバースモーゲージ | 自宅を担保に金融機関から融資を受け、融資後も住み続けられる制度 | 住み慣れた自宅に住みながら資金を得られ、売却せずに資産活用できます。ただし、不動産価値の下落リスクや契約者死亡後の売却による相続人への負担などのリスクも伴います。 |
それぞれの選択肢について、収益性や管理の手間、家族への影響を考慮することが大切です。賃貸は定期収入が期待できる反面、管理負担が続く点、リースバックは資金確保と住環境維持を両立できる便利さ、リバースモーゲージは資産を手放さずに資金を確保できる一方、出口や相続への影響も伴う点は、いずれも理解しておく必要があります。
まとめ
親が施設に入居されたことで実家をどうするか悩む方は多いものです。空き家のまま放置すると税負担や管理の手間が増し、自治体から特定空き家に指定されるリスクも生じます。売却を検討する場合、住まなくなった日から3年以内であれば居住用財産の特別控除が利用できますので、時期を逃さず意思決定することが大切です。売却以外にも賃貸やリバースモーゲージなど多様な選択肢がありますが、ご自身と親の状況にあった最善の方法を落ち着いて選びましょう。当社では、ご相談からお手続きまで丁寧にサポートいたしますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
