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不動産売却に仲介手数料法改正はどう影響する?変更点を解説

不動産コラム

川田 直紀

筆者 川田 直紀

不動産キャリア2年

高松市で不動産の仕事をしています。祖父の代から続く会社を受け継ぎ、売却や相続、土地の相談などを一貫して対応しています。誠実さとスピードを大切にしながら、お客様の不安や疑問に丁寧に向き合うことを心がけています。地元の暮らしに役立つ不動産情報をわかりやすくお届けします。

2024年7月1日、不動産売却時の仲介手数料に関する法改正が施行されました。不動産業界の動向に興味がある方や、今後売却を検討している方にとって注目すべき内容です。空き家問題や低価格帯物件の流通課題を背景に、仲介手数料制度がどう変わったのか、具体的な変更点やその理由を分かりやすく解説します。最新情報を知ることで、売却時のトラブル回避や適切な選択に役立ててみませんか。

2024年7月1日に施行された仲介手数料制度の法改正の概要と背景

不動産売買における仲介手数料について、新たな制度改正が2024年7月1日に施行されました。改正前は売買価格に応じて「200万円以下:5%」、「200万円超~400万円以下:4%+2万円」、「400万円超:3%+6万円」という速算式が定められており、仲介手数料の上限が規定されていました。

この計算方法では、たとえば300万円の物件であれば「300万円×4%+2万円=14万円(税別)」という上限が適用され、不動産会社にとっては調査や業務に要する手間に対して十分な報酬が得られず、特に地方や郊外にあるニーズの少ない物件では取扱いを避けられがちでした。

こうした背景には、総務省の「住宅・土地統計調査」で、2023年10月時点の空き家数が約900万戸(住宅総数に対して13.8%)、そのうち「居住目的のない空き家」が約385万戸にのぼるという深刻な社会問題があります。このうち取引に適した空き家や低価格帯物件の流通促進が、喫緊の課題となっていました。

そのため、国土交通省は宅地建物取引業法に基づく大臣告示を改正し、2018年に導入された「価格400万円以下の低廉な空き家等への特例」を、対象を「800万円以下の宅地建物」に拡大しました。この改正により売主・買主双方から、それぞれ最大30万円(税別)が仲介手数料の上限として認められるようになりました。これは従来の料率上限を超える特例措置として、不動産会社に働きかけるインセンティブが大幅に強化されたものです。

以下に、改正の前後での仲介手数料の比較を表形式でまとめました。

区分改正前(速算式)改正後(特例対象:800万円以下物件)
仲介手数料上限価格に応じた料率(例:300万円×4%+2万円=14万円)一律30万円(税別)
対象価格帯上限対象は400万円以下の物件のみ800万円以下の宅地建物(使用状態問わず)
売主・買主売主のみ適用売主・買主双方から最大30万円(税別)ずつ可能

具体的な改正内容と適用条件

2024年7月1日施行の法改正により、売買価格が800万円以下の不動産取引では、売主および買主それぞれから最大30万円(税抜)の仲介手数料を受領できるようになりました。この改正は、低価格帯や空き家等の取引を促進する目的で実施されています。

ただし、この特例を用いるためには、媒介契約の締結時点で依頼主(売主・買主)に対して新ルールの説明を行い、あらかじめ書面等を通じて合意を得る必要があります。国土交通省も、依頼者への事前説明と同意を特に重視するよう通知しています。

なお、800万円を超える物件に関しては、改正後も従来通り「売買価格×3%+6万円+消費税」による速算式が適用されます。例えば1,000万円の取引であれば、税抜で39万円、税込で約42.9万円が上限となります。

取引価格帯 適用手数料上限(税抜) 適用条件
800万円以下 30万円(売主・買主それぞれ) 媒介契約時に説明・同意が必要
800万円超 売買価格×3%+6万円 従来通りの速算式適用
例:1,000万円 39万円(税抜) 速算式に準ずる

法改正がもたらす流通活性化への影響

2024年7月1日施行の仲介手数料改正により、売買価格800万円以下の低価格帯物件、特に空き家等の取り扱いについて、不動産会社にとって扱いやすい環境が整いました。改正前は取扱い難易度の高い物件に対して仲介業者が得られる報酬が少なく、利益が見合わず敬遠されるケースが多かった一方、今回の改正により売主・買主双方からそれぞれ最大30万円(税別)、税込で最大33万円の手数料を受領可能になったため、収益の確保が容易になり、積極的な取扱いが期待できます。

対象物件 改正前の実情 改正後の変化
低価格帯(800万円以下) 仲介業者の収益が少なく扱いづらい 売主・買主両方から最大33万円(税込)受領可能
空き家(地方・郊外) 案件が減少し流通停滞 報酬改善で仲介意欲向上
市場流通状況 流通量が限定的 掲載件数・問い合わせ数に増加傾向

実際に、LIFULL HOME’Sの集計によれば、全国の掲載物件に占める800万円以下物件の割合は、2024年7月時点で5.7%、10月には5.9%に上昇し、特に地方部では7.9%から8.2%へと増加しています。また、問い合わせ数においても「400万円超~800万円以下」物件への占有率が17.7%、「400万円以下」幅でも10.9%となるなど、需要の高まりがうかがえます。

さらに、こうした制度改正は

  • 売主・買主にとって、仲介手数料の上限が明確化することで安心感が増し、不透明さが軽減されること
  • 不動産会社にとって、低価格帯物件の取扱いに対するモチベーション向上と収益確保が進むこと
  • 地方や郊外を中心に、これまで流通が進みにくかった空き家や低価格帯物件の活性化が期待されること

が、制度改正による大きな効果として挙げられます。今後のさらなる流通促進には、制度の正確な理解と、それを活かした丁寧な説明が極めて重要になります。

売主として改正内容を賢く活用するためのポイント

2024年7月1日の改正により、800万円以下の物件では売主・買主それぞれから最大30万円(税抜)、つまり最大33万円(税込)の仲介手数料を受領できるようになりました。この特例を活用するためには、媒介契約前の確認と契約内容の明示が不可欠です。以下のポイントを押さえて、安心・納得の取引を実現しましょう。

ポイント 具体的対応
媒介契約前の手数料確認 媒介契約締結前に仲介手数料の算定方法および上限額の明示を求め、必要に応じて書面で確認しましょう(媒介契約書で明記が必須)
書面による説明と承諾 特例上限を超える合意には、媒介契約時に必ず書面による説明と依頼者の承諾が必要です。重説(重要事項説明書)や契約書への記載を確認しましょう
媒介契約形態と費用構成の理解 複数の媒介契約形態(専任・一般など)の違いや費用構成を理解し、物件と自分に適した契約形態を選択しましょう

このように、媒介契約前の説明・確認と契約書の明記により、売主の納得感と安心感が高まります。また、媒介契約の形態や費用構成を理解して選ぶことで、改正を最大限に活かした取引が可能になります。

まとめ

2024年7月1日に施行された不動産売却の仲介手数料制度改正は、800万円以下の物件で新たな上限が設定されました。これにより低価格帯や空き家の取引が活発になり、地方物件の流通促進にも寄与することが期待されます。売主は媒介契約前に手数料や契約内容を確認し、条件に応じた契約形態を選ぶことが大切です。制度の正しい理解が安心と納得の取引につながります。

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